人を助けるまでの段階③
前回の続きをお話しします。沈黙の螺旋説についてこの例を出しました。
【国民生活の世論調査】「現在の生活に満足」過去最高の74%
この例を挙げてみます。
これは2020年のデータです。
この例について以下のように考えました。
- この調査では生活について、「満足している」または「まあ満足している」と答えた割合が73.9%となっていて、「やや不満だ」または「不満だ」と答えた人が無視できない数字ですが、少数派となっています。
- 約4分の3が「満足している」または「まあ満足している」と答えている中で、5%しかいない「不満だ」の声をあげるのは難しいと思います。
その結果として、援助行動までのステップ①が妨げられることが十分にあると考えられます。
実際にはもっと声を出しにくい事もたくさんあると思います。
世の中の流れで理解が広まってきたとしても、地域・職場・学校などにおいて、少数派であることも多々あると思います。
そこにおいて、少数派となってしまった場合に声をあげることが出来ずに、援助行動のための①の段階を妨げることになる事がなります。
次に、集団的浅慮についてお話ししました。
集団的浅慮とは、個人だと正しい判断が出来るのに、集団で協議すると間違った判断を下してしまう事です。
集団的浅慮はメンバーの結束力が強く、反対意見の出にくい閉鎖的な集団に発生しやすいです。
集団的浅慮が起こる兆候としては、自分たちは大丈夫という無根拠な過信、外部からの忠告の軽視、自分たちにとって不都合な情報や反対意見の遮断といった事があります。
集団的浅慮によって、個人では緊急事態と認識可能なのに緊急事態と認識しないことはあると思います。この場合、援助行動の②の段階が妨げられます。
その次にプロセス・ロスについてお話ししました。
プロセス・ロスとは集団による話し合いの過程において、メンバーが持っている素質が十分に生かされず損失が生じることです。
例えば、グループでの話し合いにおいて、いいアイデアが思いついてもそれをいいタイミングで発言出来ずに、思考が停止しやすくなってせっかくのアイデアが生かされにくくなります。
私の考えた例ですが、2018年9月の胆振東部地震における支援をどのようにして行うのかを考える時に、せっかくいいアイデアがあっても話すタイミングを失ってしまって、それが生かされなくなってしまう事です。
こうなったら、援助行動の④の段階が妨げられます。
その次に、誤った判断を覆すためにということを発表しましたが、今回はここまでとします。