胡蝶しのぶの覚悟
今回は、私が一番好きなシーンについてお話したいと思います。
私が一番好きなシーンは上の画像の「まず第一の条件として私は鬼に喰われて死ななければなりません」とカナヲに話すシーンです。これは、姉のカナエの敵である童磨を倒すための作戦をカナヲに伝えている場面です。その時既に、しのぶは自らの命を犠牲にしてカナヲに童磨を倒させるを考えていました。
しのぶは藤の花の毒を1年間摂取し続けていて血液・内臓・爪の先の至るまで高濃度の藤の花の毒が回っている状態でありました。鬼がしのぶを喰った場合、その鬼が喰らう毒の量はしのぶの体重である37キログラム分であり、致死量の約700倍です。
しかし、この試みを最初に行ったのがしのぶ自身で、どんな副作用が出るのか分からず、さらに上弦の鬼や無惨に通用するのかすら分からない状況でした。
この作戦を行うこと自体が、自分の命を犠牲にすることが前提となります。鬼がしのぶを喰わない限りはこの量の毒が童磨の体内に入らないわけです。それ以前に、毒を1年以上摂取し続けること自体が並みの覚悟では出来ないことだと私は感じます。さらに言えば、そもそもの問題として、致死量の700倍の毒を喰わせたからと言って、上弦の弐である童磨を倒せるという保証はありません。この条件の中でこの作戦を決行したということは、相当の覚悟があったということ、更に「必ず私が鬼を弱らせるからカナヲが頸を斬ってとどめを刺してね」とカナヲに言ったように、カナヲが必ず童磨を討ってくれるという強い信頼をカナヲに置いていたのだと思います。
この作戦を取ったというのは、しのぶの「自らの命を犠牲にしてでもカナエの敵を取りたい」という強い思いも勿論ですが、継子であるカナヲに対する強い信頼、「自分自身が死んだ後は自分の意思を持つようになったカナヲにその敵を取って欲しい」と感じていたことも大きかったと思います。カナヲがカナエ・しのぶの敵を自らの意思で取るということは、自分の意思で物事を決められなかったカナヲが自分の意思で行動するという事が出来るようになったという事です。カナヲが自分の意思で行動できるようになるということは、カナエとしのぶがずっと望んでいたことです。
つまり、カナヲの存在もしのぶがこの作戦を取ることを決意した要因となっていると私は思います。
もしですが、しのぶ・カナヲ・伊之助が童磨を倒せなかったら、無惨の他に上弦の鬼が残った状態で無惨と戦わなければいけませんでした。そうなれば、鬼殺隊は全滅していたと思います。これに関しては、上弦の壱の黒死牟を倒せなかった場合においても言えます。それを考えたら、カナヲの存在もとても大きかったと思います。このように他の人の存在が大きな決断に対して影響を与えることはたくさんあると思います。また、カナヲは鬼になった炭次郎を元に戻すのにも必須の存在でした。
次は、カナヲの炭次郎に対する愛について話そうと思います。